CSM Insights - Your Pathway to Strategic Automotive Planning
YOUR PATHWAY TO STRATEGIC AUTOMOTIVE PLANNING
Third Quarter · 2007
Automotive Industry Solutions

市場影響力の評価

By Greg Mount

ここしばらくの間、サプライヤーにとって収益性を守るための苦しい闘いが続いている。原材料価格高騰という環境の上昇圧力は、顧客であるOEMから支払われる対価が小幅な増加にとどまっているため、部分的にしか相殺されない。原材料価格は過去4年間で年間平均上昇率が13.5%となっている一方、販売価格の年間平均上昇率は1.4%増に過ぎない。特に北米の自動車メーカーは、サプライヤーにコスト低減圧力を与えるために市場影響力を活用してきた。こうした戦略の行き過ぎた活用が部品サプライヤーの財政破綻を引き起こしている。このような状況は、破産が裏付けているように、一時的な現象になりえるだけである。サプライヤーは意識的な努力、市場では最も強い企業だけが生き残るという経済的ダーウィン説、または両方の組み合わせから統合に乗り出す可能性が高い。International Automotive Components Group

(IAC)の創設を通じての Wilbur Ross氏の活動は、こうした傾向の良い例である。Wilbur Ross氏は、問題を抱えた業界で苦戦している企業を好転させる秘訣を理解しているレバレッジド・バイアウトの有名な専門家である。Ross氏は数年前に自動車サプライヤー業界に目を向けた。IACは現在Learの欧州及び北米の内装事業、Collins & Aikman (C&A)の欧州事業、

更に他の企業のサプライヤーも管理下に置いている。CSMのデータベースを活用すると、こうした買収活動の結果としてサプライヤーとOEMの力関係における変化を目の当たりにすることができる。

Click to Enlarge 欧州のドアトリムパネルのサプライヤーを見てみると、LearとC&Aのビジネス統合の成功もその市場支配力関係に大きな影響を与えられなかったことがわかる。C&Aは欧州市場でシェアが1%にも満たない比較的小規模な企業である。輸送中に破損する可能性が高いことから、市場が大きく地域化され、分析が適切な地理的範囲に限定されている。

しかし、C&A の北米事業買収は、北米市場におけるドアトリムパネルサプライヤーの首位を走る企業と第5位の企業が1つになることで、合併成功例を提示している。北米市場では、現在、ドアトリムパネル生産を行っている14のOEMが、24の有望な企業の協力を受けている。

経済学者は産業内での消費者及び/又はサプライヤーの市場集中度の関係を理解するために、しばしばハーフィンダール・ハーシュマン・インデックス(HHI)と呼ばれる簡易的な指標を使用する。

今月号のThe New Auto Supplier Consolidationに更なる情報が記載されているが、集中度が高ければ高いほど、業界の交渉力は集中度が高い方に優位に傾く。HHIの数値が1000未満の市場構造は競争的市場、1000~1800は適度な寡占市場、1800を超えると寡占または独占市場と考えられる。北米のドアトリム市場では、指数はOEMが1603、サプライ

ヤーが909となる。これは、交渉の際にOEMに本質的な優位性を与えるには充分すぎる数値である。CSMは、分析範囲において更に先端を行くことができる。CSMのデータベースは、140億ドル規模のドアトリムパネル製品ラインナップの取引に関する全情報を網羅している。個々のサプライヤーのビジネスは、今後5年以降に生産される各特定モデル及び生産開始時期情報にリンクしており、相互関係を表す基盤を作り出す。

サプライヤーにとって最悪のケースは、特定の商品を供給する多くの小規模サプライヤーが存在するような競争的市場だろう。このケースでは、選択肢が豊富で潤沢な資金を持っている唯一の大規模で積極的な顧客が存在するだけである。更に、サプライヤーは一般的に将来の株式資本の持続的な活用を保証するビジネス契約をほぼ確保できないだろう。このケースでは、サプライヤーは収益性を守るための力をほとんど持つことができない。対照的に、サプライヤーにとって理想的なケースでは、特定の商品を提供できる市場で唯一のサプライヤーとなることだろう。その場合、多数の顧客を持つことができ、持続的成長を確実にするためにどんな顧客にも依存する必要がない。サプライヤーは、既存及び将来的な生産能力のフル活用を保証するに充分な規模の契約更新を将来に渡って獲得できるだろう。このケースではサプライヤーは収益性を守るために最大限の力を発揮することが可能だろう。

CSMのSupplier Power Index (CSM-SP Index)は、外的要因を考慮した上でこれらの要因を詳細レベルに渡って計測する。その分析評価は、0(最悪のケース)から100(理想のケース)の間となる。大手サプライヤーが優位性を有するケースは、競争力のある商品を提供できる生産開発能力のあるサプライヤーにOEMが依存しなければならない状況にある場合である。しかし、主要プラットフォーム/プログラムの組み合わせでの成功目標は比較的小規模なサプライヤーにもOEMとの関係における影響力を「高める」ことができるようになる。また、大手サプライヤーも自身の立場を更に高めるためにこの戦略を活用することができる。

CSMでは、2種類の分析を行った。1つはC&Aを独立組織として存続するという条件下での軌範事例、2つ目はIACがC&Aを買収した場合、権力構造がどのように影響を受けて変遷するかを見るものである。

Click to Enlarge 軌範事例では、IACは44.9という市場影響力の評価値だが、これは北米ドアトリム市場におけるトップ10サプライヤーの平均47.7を下回る数値である。これはLearが市場影響力を達成するための規模のてこ入れに成功しなかったことを意味する。更に、CSM-SP Indexの重要な構成要素であるダンスカード(予定表)では、IACは将来的な生産設備に大規模な生産能力の投入を予定していない。C&Aは市場影響力の評価値で42.3と幾分低い所に位置している。他方、Johnson Controlsは、見事な結果を達成した。近年のOEビジネスの戦略的再編がその優位性を証明しており、ダンスカード指標ではトップ企業の1つとなっている。しかし、C&Aの北米事業買収は、IACにとっては状況が大幅に好転し、統合企業として市場影響力の評価値は48.4に上昇する。このように、全てのサプライヤーにとって統合による波及効果があることに気付くだろう。その度合は様々ではあるが、競争空間を統合することで恩恵を受ける。

こうしたタイプの分析は、サプライヤーの統合が進む際に投資家を最適な合併や買収に導く一助となる。その他の潜在的な目標と比較考慮しながら、より優れた統合の組み合わせを見出すことができる。IACとFordのACH間の統合は、Wilbur Ross氏の企業にとって、指標で49.4という結果を生み出す優れた組み合わせである。

この手法を活用し、特定の統合による市場影響力への効果を見ることによって、サプライヤーがより戦略的に商品を選択することもできる。サプライヤーの統合が行われる際のスピード、容易性、効果はサプライヤーと金融業者が戦略的方法論を欠いた状況で進める分析とは対峙する手法で、いかにその分析を深化させることが可能かという点にもよるだろう。

Greg Mount のEメールアドレス: gregmount@csmauto.com

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